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2009年6月13日 (土)

海外音楽エピソード(3)エリーゼのために

皆様ご存知の「エリーゼのために」は「アラベスク」とともに、ピアノを習い始めた幼少期に必ず発表会などで弾くために練習する名曲です。ベートーヴェンが38歳の時の曲と言われていますから、意外と晩年にこんなロマンチックな曲を書いたのですね。もちろん、ロマンチックな曲を書けなくなったら悲しいのですが。

さて、10年以上前でしょうか、NYのカーネギーホールでアルフレッド・ブレンデル(ピアニスト)のベートーヴェンソナタを聞いた夜でした。当日にチケットを買ったのでやけに高いフロアの席で、その上時差ボケに暗さが重なり、子守唄のようにコンサートを楽しんでいました。素晴らしい演奏で、当然アンコールの拍手は鳴りやまず。何回かのカーテンコールの後、彼が弾き始めたのがこの「エリーゼのために」でした。私は、「すっごい勇気だ!」と思って身を乗り出しました。ところがカーネギーホールの聴衆は、な、なななんと笑ったのです。

アメリカでは聴衆のマナーがちょっとヨーロッパや日本と違いますが、ここは笑うところではないだろう!と腹立たしく思いながら耳を澄ましました。すると、聴衆は笑ったことがすぐさま間違いだったとわかったのか、次の瞬間に凍りついたような静寂に変わったのです。しかも、その静寂はさらに深くなり、一本の光の筋のような厳しい透明なものになっていきました。その先にあったのは言うまでもありません。

ブレンデルが弾き終わると、数秒の静寂がホールを取り囲み、そして爆雷のような拍手が起こったのです。隣の女性は涙を流しているではありませんか。私は最後の数小節で鳥肌が立ったのを今でも覚えています。この演奏を生涯忘れることはないでしょう。

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コメント

D flatさんの「エリーゼのために」が、聴きたいです♪

投稿: 撫子 | 2009年6月17日 (水) 10時04分

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